計測装置のメインファンが回っていませんでした。エンジンの熱対策として、ベンチテストでは必ず回すファンです。
2021年7月、暑く湿度も高かった午前中。BMW F900XRで、マイクロリアクター開発初期の試作品を測定した日のことです。車両のパワーモードはノーマルに設定しました。後のGLiモデル、ZFシリーズ、ZF-Rシリーズへと続く開発の出発点になった試験です。
装着前に3回測定。冷却は車両側のファンだけ
まず、試作品を装着しない状態で3回測りました。ところが、エンジンを冷却するために必ず回す計測装置のメインファンが作動していませんでした。私たちがそう指定したわけではなく、測定時に起きていた不備です。冷却は車両に備わるファンに頼る状態でした。
装着前の測定を終えて試作品を取り付けました。通常は装着後に約30分置きますが、この日は装着作業にかかった約5分の後、すぐに装着後の測定を行っています。
真夏の高湿度、冷却不足、そして測定を重ねた車両。熱の影響で数字が下がってもおかしくないと、私は思っていました。グラフに出た結果は逆でした。
グラフに残った最大出力の差

装着前の最大出力は82.03 PS、装着後は83.48 PS。表示値の差は1.45 PS、約1.8%でした。これはグラフに示された各測定の最大値の比較です。装着前3回の平均値ではありません。
「効果が証明された」とは言わない
この試験は、きれいに条件をそろえた比較試験ではありません。計測装置のメインファンが作動していなかった以上、冷却条件の影響は切り分けられません。気温や湿度の数値、各回の詳細条件も、このグラフだけでは確認できません。1.45 PSの差をすべて試作品によるものと断定することはできません。
それでも、冷却が十分でない状態で測定を重ね、装着から約5分後の最大値が上がった。予想とは違う結果でした。私にとっては、ここで開発を止めず、次の構成を試す理由になりました。
測定後は自走で持ち帰ってオイル交換をしました。抜いたオイルの状態も良くありませんでした。車両の状態を含め、理想的な試験だったとは言えません。この事情も隠さずに残します。
この試作品からGLi、ZF、ZF-Rへ
2021年の試作品は、現在販売しているZFシリーズや受注生産のZF-Rシリーズそのものではありません。その後、構成や素材を見直し、試作を重ねました。GLiモデルを経て、ZF、ZF-Rへ。あの日のBMW F900XRの測定は、その開発の起点の一つです。
83.48 PSという数値を、現行モデルの性能値として示すつもりはありません。あの日に見たのは、完成品の答えではなく「まだ先を試す価値がある」という手応えでした。
現在のZFシリーズを選ぶなら
この記録は、現行製品で同じ出力差が出ることを保証するものではありません。いまの製品は、装着する車両と使い方から選んでください。
- オートバイや小型車、省スペースでの装着を考える方:マイクロリアクター ZF-4
- 小型車から大型乗用車まで、基準となるモデルを探す方:マイクロリアクター ZF-5
- より積極的な走行フィールを求める方:マイクロリアクター ZF-7
ZF/ZF-Rシリーズの開発経緯とモデルの違いもあわせてご覧ください。試験記録の読み方については、Research & Developmentにまとめています。
